特別セミナー・『古代ローマの食卓へ』ご報告
さる9月11日(火)銀座 ヴェジス・アル ケントーレにて
「古代ローマの食卓へ」特別セミナーを開催いたしました。
古代ローマについての映像をご覧いただきながら西洋古代史研究者
佐藤育子氏の素晴らしい解説で、古代ローマ時代の歴史の流れを学び、
後半は栗原さち世が当時の食卓文化についてお話させていただき、
お食事の時間にはイタリアンシェフによる本格的な創作料理をご堪能
いただきました。おかげさまで満席となりました会場では、
皆様に再現テーブルやローマンガラスの展示もご覧いただき、
時を越え国を超え「歴史の食卓に遊ぶひととき」をお楽しみいただきました。
~会場展示~
当時の貴族の食事室トリクリニウムをイメージした一角。
トリクリニウムはギリシア語で三台の寝台を意味し、やがて食事室を指す
言葉となりました。一つの寝台に三人が左肘を下にして横たわって(全員で9人)
食事をすることが、特権階級の人々に許された食事スタイルでした。
真ん中のテーブルは写真では四角のテーブルですが、本来は丸テーブルで、メンサと呼び、お料理はメンサごとに入れ替える形をとっていました。
クッションは左ひじの下に敷き、ナプキンは当時、招かれた客が持参するものでしたので、すべて色や柄を変えて置いてあります。手食で、床には食べかすなどを捨てていました。
赤紫は高貴な色として特権階級の人々にとても好まれていました。
イメージテーブル①
当時の庶民は素焼きの安価な器で、豆のスープなどを食べていました。イタリア料理の定番トマトやジャガイモは、まだこの時代には、ありませんでした。
イメージテーブル②
前菜、主菜、デザートといったコース料理も古代ローマ時代に始まったとされ、ラテン語で
「卵からリンゴまで」は最初から終わりまでを表す言葉だったようです。
イメージテーブル③
パンも身分に応じて様々なパンを食べていました。
~お食事タイム~
古代ローマ時代のレシピにヒントを得ての創作料理を召し上げっていただきました。
食材は基本的に当時から使われていたものをセレクトし、調味料も古代ローマ時代、
最も好まれたガルムやオリーブオイルを使用しています。
皆様から「美味しい!」とお褒めの言葉をたくさん賜りました。
冷たい前菜:いろいろ豆と彩野菜のサラダ仕立て 半熟卵をのせて
十七穀米とヤマドリタケ(ポルチーニ茸)の焼きリゾット
セルバチカ(ワイルドルッコラ)のサラダ添え
海老ムースのバロティーヌ フレッシュコリアンダーのジェノヴェーゼ風ソース
豚肉のサルシッチャロースト 大カトーも愛したキャベツの酢漬け(ザワークラウト)添え
マチェドニアとヨーグルトのパンナコッタ (りんご、イチジク、桃、甘味料のはちみつを使って。)
~ささやかなコレクションの展示~
シリアパレスチナ~東地中海沿岸出土の推定BC50~AD50の条文装飾鉢です。
東地中海沿岸域出土の推定AD1~3世紀、あるいはAD2~4世紀の銀化したフラスコ瓶です。
AD1~5世紀のローマランプ。掌に載せて夜間の部屋の移動時などに使用したとか・・。
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ご参加いただきました皆様、きめ細やかな対応と共にお力添えいただきました アル ケントーレのスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。